「初めてECサイトを立ち上げる」「EC担当者になったが、運営業務をどう進めていくべき?」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
ECサイト運営といっても、その業務内容は多岐にわたります。
この記事では、ECサイト運営における8つの仕事内容や、構築・運営にかかる費用について解説します。また、必要なスキル、向いてる人の特徴も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
コンテンツ
ECサイト運営業務の内容
ECサイトの運営は、おもにフロント業務とバックエンド業務の2つに分かれます。
ECサイトの運営をスムーズに行うためには、それぞれの業務内容の特徴を把握しておくことが大切です。
フロントエンド業務
フロントエンド業務とは、商品の企画やマーケティング、ECサイトの制作、サイトの運営管理、仕入れなどを行います。
ECサイト立ち上げ初期の段階では、サイト自体の知名度が低くアクセス数を増やすのが難しい傾向にあります。そのため、アクセス数を引き上げる効果的なプロモーションを検討することも大切です。
同時に、ユーザーのニーズや行動パターンを分析し、競合との差別化を図れるよう、戦略的な手法を展開していきます。
バックエンド業務
バックエンド業務は、在庫管理や決済処理、出荷作業、アフターサポートなど、ECサイトの販売を支え、顧客満足度を高める業務を行います。
顧客の信頼性や満足度を高めるためにも、ユーザー視点に立ったきめ細やかなサポートや対応が求められます。
初期の段階ではバックエンド業務の負担が大きくなくても、売上増加に伴い負担が増えると、ミスをしてしまう可能性が高まるでしょう。
バックエンド業務のミスは信用問題やトラブルに発展するリスクもあるので、ミスを防ぐための集中力や、効率的な業務遂行が必要です。
ECサイト運営の仕事内容8つ
ここからは、ECサイト運営のおもな仕事内容を8つに分けて解説します。
1. 商品企画
商品企画は、ECサイト運営において重要な業務のひとつです。ニーズやトレンド、季節性などを分析し、売れる商品を企画・選定します。
ただし、製造や仕入れの時期、配送などにはリードタイムがかかります。トレンドが終わる時期を見誤り、製品を販売する頃にはトレンドが過ぎ去ってしまっていた、という事態に陥る可能性もあります。
計画段階で適切な市場調査やトレンドの動向を見極めることが成功の鍵となるでしょう。
年間の販売計画を立てつつ、原価率や利益率、仕入れの頻度、個数、販売期間、売上予測などを含めて綿密に企画していくことが必要です。
2. 仕入れ
事前に立てた販売計画をもとに、商品の仕入れや製造を行います。
販売予測を見誤ると、大量の在庫を抱えてしまうことにもなりかねません。入念な販売計画にもとづいた適切な数量の仕入れを行いましょう。
反対に、いくら販売予測を立てていたとしても、SNSで商品が話題になり、予想以上に売れて在庫がなくなることもあります。
このような機会損失を防ぐためにも、複数の仕入れ先を確保したり、レスポンスが速い仕入れ先を探すといった工夫が必要です。
3. サイト制作・更新管理
商品を売るためにECサイトを制作したり、更新管理を行うこともフロント業務のひとつです。
ECサイト運営では、いかにユーザーが使いやすいECサイトを制作できるかが重要です。
いくらデザインや見た目にこだわっても、ユーザビリティが悪ければユーザーは離脱してしまい、結果として売上につながりません。
また、ユーザーに飽きられないよう常にサイト内の情報を最新にしておくこともポイントです。
4. マーケティング
魅力的な商品を販売しても、ユーザーに情報が届かなければ売上は伸びません。ECサイトを運営するときは、おもにWebマーケティングを用いて集客対策を行います。
Webマーケティングの代表的な集客チャネルは以下の通りです。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- アフィリエイト広告
- コンテンツマーケティング
- SNSマーケティング
- メールマガジン
- インフルエンサーマーケティング
プロモーションには、即効性があるものと中長期的に運用が必要なものがあるため、バランスよくプロモーションを使い分けることが大切です。
5. 商品情報登録
ECサイトの商品情報登録では、「商品撮影」「採寸」「原稿」を組み合わせた「ささげ業務」が重要です。
ささげ業務は、商品を撮影して写真を掲載し、サイズを測り、商品紹介文を作成して商品ページに掲載するという一連の作業のことです。
顧客が商品を購入するかどうか判断する要素となるため、商品の売れ行きに大きな影響を及ぼす重要な業務のひとつと言えます。
6. 受注管理・在庫管理
受注管理では、顧客が商品を購入した後に、確認メールの送信、在庫の引き当て、出荷指示を行います。
受注後の業務は顧客と直接かかわるため、ミスやトラブルによってクレームにつながる可能性もあります。スタッフは注意深く業務にあたらなければなりません。
また、販売計画や売れ行きをもとに、適切な在庫管理を行うことも大切です。
7. 出荷・配送作業
出荷指示をもとに商品を倉庫から出す「ピッキング作業」を行います。ピッキングが完了したら、梱包して伝票を貼り、配送会社に引き渡すまでが一連の流れです。
梱包は、他社と差別化を図れるポイントにもなります。商品が傷つかない丈夫な資材であることを前提に、外装やお礼状にこだわることで愛着を持ってもらえます。
なお、上記がコスト面で負担がかからないかも検討しておきましょう。
8. アフターフォロー
アフターフォローの業務には、問い合わせやクレーム対応、返品交換対応、クーポンの配信などが含まれます。
ECサイトを運営するにあたってクレームが入ることも考えられます。そうした顧客からの問い合わせに丁寧に対応することで、むしろ好印象を与えることも可能です。
アフターフォローの内容は多岐にわたります。アフターフォローを強化することで顧客満足度が向上し、リピート率を高めることにつながります。
ECサイト運営にかかる費用
ECサイトの構築から運営までには、さまざまな費用が発生します。
ECサイトの構築・運営方法は主に次の4つがあります。
- ASP:提供されているクラウド上でECサイトを手軽に構築できるサービス
- オープンソース:外部に公開されているソースコードを使用してECサイトを構築する手法
- パッケージ:ECサイト運営に必要な機能がパッケージ化された製品
- フルスクラッチ:ソースコードを使用して0からECサイトを構築する手法
まずは、ECサイトを構築するための主な方法と費用を見ていきましょう。
構築方法 | 構築費用 | 月額費用 | 年商の規模 |
ASP | 数十万円〜 | 数万円〜 | 0~1億円程度 |
オープンソース | 数百万円〜 | 10万円~ | 1億~数十億円程度 |
パッケージ | 数百万円~ | 数十万円〜 | 1億~数十億円程度 |
フルスクラッチ | 数千万円~ | 数十万円~ | 数十億円~ |
構築費用や月額費用については、それぞれのツールや会社によって異なります。自社の予算感を踏まえて検討しましょう。
また、システム構築や人件費以外にも以下のランニングコストがかかります。
- ECシステム費用
- サーバー費用
- ドメイン費用
- 決済代行会社の契約料
- Web広告配信費用
- 物流サービス費用
初期費用だけでなく、ランニングコストまで見据えてEC事業の計画を立てましょう。
ECサイト運営で求められるスキル
ECサイト運営で必要なスキルは以下が挙げられます。
- Webマーケティング力
- 商品企画力
- クリエイティブ力
- カスタマーサポートの対応力
- データ分析と改善力
必ずしもこれらがないとECサイトを運営できないという訳ではありません。しかし売上を伸ばし、ECサイトを成長させていくためには、身に着けておくと強みのあるスキルと言えます。
ECサイト運営に向いてる人
ECサイト運営の仕事内容は多岐にわたります。ECサイト運営に向いている人は、どのような特徴があるのでしょうか。
- 顧客目線に立って寄り添える人
- 分析力がある人
- 柔軟に業務をこなせる人
- 細かい作業が得意な人
売れるECサイトを作るためには、常に顧客の目線に立ってお客様に寄り添う姿勢が大切です。さらに、販売促進や売上アップのための数値分析や改善力がある人も重宝されるでしょう。
また、ECサイト運営の仕事内容は多岐にわたるため、一人で複数の業務を担当する場合もあります。コツコツと作業する業務も多くあるため、細かい作業が得意かつ柔軟に働ける人が向いているでしょう。
ECサイト運営まとめ
ECサイト運営では、フロントエンド業務からバックエンド業務までさまざまな業務が発生します。個々の業務をすべて自社で完結させようとすると、莫大なコストやリソースがかかります。
ECサイトをスムーズに運営していくためには、ECシステムやツールによって負担を軽減したり、効率よく成果を上げるための施策が欠かせません。
顧客に対してより良いサービスを提供するためにも、運営体制を整えていきましょう。