【例文あり】カゴ落ちメールの効果とは?配信のタイミングやポイントを解説

カートに商品を投入した後に、決済を完了せずに離脱することを「カゴ落ち」と言います。

Baymard Instituteが行った調査によると、ECサイトにおいてカゴ落ちが生じる平均は約70%にも上り、カゴ落ちはCVRや売上に大きな影響を及ぼします。EC担当者の中には、カゴ落ちに頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。

「カゴ落ちメール」は、既存ユーザーに対して再訪を促し、購買意欲を高められる効果的な施策のひとつです。

この記事では、カゴ落ちメールの効果や、配信タイミング・回数・内容などを例文付きで解説するので、ぜひ参考にしてください。

カゴ落ちメールとは?有効なカゴ落ち対策の1つ

カゴ落ちメールとは、ECサイトで商品をカートに投入した後、購入せずに離脱してしまったユーザーに対して配信されるメールのことです。

商品だけでなく、資料請求や来店予約まで進んだものの、入力手続きの途中で離脱してしまう場合も含まれます。

たとえば、未購入商品のリストや特別なクーポン情報、商品の詳細をまとめた内容などが効果的です。カゴ落ちメールを配信することで、離脱したユーザーの再訪を促し、売上やCVR改善につなげられます。

カゴ落ちの平均値は?

ECサイトのデータを広く集計したBaymard Instituteによると、世界のカゴ落ち率の平均は69.57%で約7割にものぼります。

たとえば、年間で1,000万円の商品がカートに追加され、7割がカゴ落ちしているとなれば、700万円もの機会損失が生じていることになります。

商品をカートに入れた10人のうち、7人カゴ落ちするところを4人に改善できれば、単純計算で売上は2倍に伸ばせます。

カゴ落ちによる機会損失を減らすだけで、売上は大幅にアップするでしょう。

カゴ落ちが発生する理由

カゴ落ちが発生する原因はさまざまです。売上やCV改善のために、それぞれの原因に対して対策や改善を行っていく必要があります。

カゴ落ちが発生するのは、おもに次のような原因が考えられます。

・決済完了までの手間がかかった
・購入する際にアカウント作成が必要だった
・送料や手数料が高い
・途中でエラーが発生した
・希望の決済方法がない
・配送日が遅すぎる
・サイトを信頼できない
・返品ポリシーに不満が生じた
・カード決済が拒否された

このほかにも、「カゴに入れて購入するのを忘れてしまった」「忙しくて途中で離脱してしまった」などの理由からカゴ落ちする場合も考えられます。

カゴ落ちメールはリマインドの役割があるため、突発的な原因によるカゴ落ちに対してとくに効果的と言えるでしょう。

カゴ落ちメールの効果

カゴ落ちメールは、ユーザーが商品をカートに追加したものの、離脱した場合に、ユーザーの再訪を促す効果があります。

購買意欲が薄れている場合でも、特別なオファーやクーポンを提供するなどの工夫によって、購買意欲の向上につながりやすくなるでしょう。

そもそもカゴ落ちしているユーザーは「サイト流入・回遊・検討・カートに追加」というステップを踏んでおり、購入の見込みが高いと考えられます。

カゴ落ちした顧客へのメールは、通常のメルマガなどに比べて開封率やクリック率が高く、より大きな効果を期待できます。

株式会社イーシー・エージェンシーの調査データによると、カゴ落ちメールの平均開封率は43.42%~47.55%となっており、カゴ落ちメールからの平均CVRは3.05%~3.75%となっています。

引用:ECサイトのカゴ落ち特化型MAツール「カートリカバリー」経由の売上が年間50億円を突破 ~ イー・エージェンシー

平均的なメルマガの開封率が20〜30%であることを考えれば非常に高い開封率と言えるでしょう。

引用:平均メール開封率レポート 【2022年版】 業種別・地域別(国別)の最新情報

カゴ落ちメールはタイミング・回数・内容が重要

カゴ落ちメールが有効だからといって、送信するタイミングや回数、内容によっては、かえってユーザーからの印象が悪くなってしまうこともあります。

ここでは、カゴ落ちメールをいつどんな内容で配信するのがベストかを解説します。

ただし、ベストな回数やタイミングは、ECサイトの特性や商品価格などによって変わるため、定期的なテストや分析が必要です。

配信のタイミング

カゴ落ちメールを配信するタイミングは、カゴ落ちが発生してから早いほど効果的です。

しかしあまりに送信するタイミングが早すぎると、ユーザーは「監視されている」「急かされている」と感じる恐れがあるので注意しましょう。

カゴ落ちメールの配信回数は、「カゴ落ちが発生して数時間後」「カゴ落ちが発生して数日後」といったタイミングが有効です。

配信回数

カゴ落ちメールの配信回数は1〜3回程度がおすすめです。

一般的には、カートに入れてから2〜3時間後、3日後、7日後など、3回にわたって配信するケースが妥当でしょう。

重要なオファー情報や特典を伝えたり、緊急性が高い場合は追加のメール配信を検討することも必要です。

ただし、ユーザーにしつこいと思わせるカゴ落ちメールは逆効果です。メール配信設定の解除につながることもあるので、頻繁に送信するのは避けるべきでしょう。

配信内容

カゴ落ちした商品の画像や詳細情報を提供し、ユーザーに再び商品に興味を持ってもらえるよう工夫しましょう。

特別な割引クーポンやセール情報、利用可能なポイントなども合わせてお知らせすれば、購入までの後押しとなります。

商品の購買を促すアクションボタンをメールの上部にわかりやすく配置すれば、ユーザーの手間が省け、クリック率の向上につながるでしょう。

カゴ落ちメールの例文【件名・本文】

カゴ落ちメールを複数回送る場合は、送信タイミングに応じて文面を工夫するのが効果的です。ここからは、送信タイミング別のカゴ落ちメールの例文を紹介します。

カートに入れて数時間後の場合

商品をカゴに入れて数時間後の場合は、商品についての記憶や購買意欲が残っていると考えられます。

そのため、「お買い忘れはありませんか?」「購入手続きが完了していません」とリマインドする形で、購入の後押しをする印象を与える件名がいいでしょう。

件名:カートに入ったままの商品があります

本文:

〇〇さま

【商品名】がカートに入っています。お買い忘れはございませんか?

カートの中身のリスト
購入手続きのリンク
ポイント情報やクーポン情報
関連商品の提案

なお、すでにご購入済みの場合や、カートから削除済みの場合でも本メールが送信されることがございますのでご了承くださいませ。

カートに入れて数日後の場合

カートに入れて数日後の場合は、商品に対する不明点や疑問点があったり、購買意欲が薄れていると考えられます。

そのため、ストレートにアプローチするより、「おすすめ商品の案内」や「特別クーポンのお知らせ」といった内容がよいでしょう。

件名:〇〇さまにおすすめの商品があります

本文:

〇〇さまが閲覧した商品をもとに、おすすめ商品をご案内いたします。

カートの中身のリスト
関連商品
人気商品ランキング
レビューや評価
購入手続きのリンク

なお、すでにご購入済みの場合でも本メールが送信されることがございます。

3日後以降のカゴ落ちメールは、購入率が下がる傾向にあります。そのため、関連商品や人気ランキングなどをあえてレコメンドし、購入率を高めるのもおすすめです。

カゴ落ちメールを導入する際のポイント

カゴ落ちメールを導入する際は、下記のポイントを意識しましょう。

  1. クーポンコードや画像でカスタマイズする
  2. A/Bテストで効果検証する
  3. カゴ落ちメール以外の対策にも目を向ける

1. クーポンコードや画像でカスタマイズする

カゴ落ちメールをユーザーごとにカスタマイズすることで、ユーザーは自分にぴったりのオファーを受け取れるため、再訪を促しやすくなります。

商品画像をカゴ落ちメールに掲載することで、ユーザーの購買意欲を再度呼び起こし、商品に対して興味を高められます。

また、購入へのリンクや特典の受け取り、ログインなどのアクションがスムーズに取れるよう、CTAやリンクへの導線づくりも大切です。

2. A/Bテストで効果検証する

カゴ落ちメールの効果を最大化するには、複数の文面でA/Bテストを実施しましょう。

たとえば、件名・本文のコピー・画像の選定・特典の内容・送信タイミングなど、複数の要素からA/Bテストの対象を選びます。

2つのバリエーションを用意し、開封率やクリック率、購入率などの指標を測定しましょう。より良い成果が得られるメールを配信できるよう、反復的なA/Bテストを繰り返すことが重要です。

カゴ落ちメール以外の2つのECサイト対策

カゴ落ちメールは非常に効果的で、再訪と購買意欲を高める上で重要な役割を果たします。

しかし、まずはWebサイトやアプリの改善を行ったり、顧客サポートを強化したりとカゴ落ちそのものを減らすことが大切です。

ここでは、カゴ落ちメール以外の対策について解説します。

1. Webサイト全体を見直す

会員登録やログインが面倒、入力フォームが複雑、ページ読み込み速度が遅いなど、Webサイトの使い勝手が悪いことが原因で離脱するケースがあります。

さまざまな選択肢を設けて会員登録やログインの手間を省いたり、購入完了までのステップを簡略化したりして、ユーザーの購入を後押ししましょう。

入力補助機能などの入力フォーム最適化や、決済代行サービスとの連携、チャットボットサービスの導入などを検討するのも有効です。

2. ユーザーの不安や疑問点を減らす

ECサイトによっては、商品の送料や手数料など追加費用が思ったよりかかるケースも少なくありません。

顧客がわかりやすいよう、あらかじめ税込表示にし、「〇〇円以上の購入で送料無料」など、カゴに入れる前に表記しておくことが大切です。

ヘルプページを作成し、よくある質問の回答をまとめることで、サイトを利用することへの不安をなくし、説明不足を防げます。

カゴ落ちをはじめとするECサイト改善に取り組もう

カゴ落ちの有効な施策のひとつである「カゴ落ちメール」は、顧客への購入の後押しを期待でき、売上改善やCVR向上を図ることができます。

一方で、送るタイミングや回数、内容が不適切だと、かえって顧客離れを引き起こす可能性もあるので注意しなければなりません。

カゴ落ちの原因や対策を理解したうえで、顧客の興味を惹くカゴ落ちメールを送信し、ECサイトの成果に役立てましょう。