NEXT ACTION of Marketers. vol.02 脳科学者 茂木健一郎 × ファミリーマートCMO 足立光 スペシャル対談 【セミナーレポート】

2021年9月27日、茂木健一郎×ファミリーマートCMO足立光 スペシャル対談「NEXT ACTION of Marketers」第二回をオンラインで開催しました。本セミナーでは、数々の企業でマーケティングの手腕を発揮してきた足立氏をお呼びし、 ロイヤリティが高い状態をどのように作り出すのか? その仕掛けの裏側に迫るとともに、消費者の頭の中ではどのような心理的な変化が起きているのか、脳科学的な視点から茂木健一郎氏が考察しました。

■開催概要
開催期日:2021年9月27日(月)16:00-17:30
参加費:無料
視聴形式:zoomオンラインセミナー(事前登録制)

■出演者
・吉澤和之 awoo Japan 日本事業開発責任者 執行役員
・茂木健一郎 脳科学者(awoo Japan株式会社 特別アドバイザー ) 
・足立光 株式会社ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)
・藤井みりか フリーアナウンサー 元NHKキャスター

動画をご覧になりたい方はこちらhttps://awoo.ai/ja/archived_videos/next_action_of_marketers_vol02/

オープニング〜本日のアジェンダ(動画 5:02〜)

 

本セッションでは、足立氏がファミリーマートにジョインして、どのように顧客理解を深めたのか、実際にどのような施策でお客様を集客しているのか、どのようなプロセスで施策を考えているのか、といったテーマを中心に足立氏に様々なお話を伺います。

消費者の欲望をかき立てる施策とは?(動画 12:58〜)

 

茂木氏:足立さんは、人のパッションをかき立て、買わずにはいられない!というようなキャンペーンがとてもうまいように思えます。そもそも人間は感情で動く生き物ですから、まさに真を突いた考え方ですよね。

足立氏:突飛なことをやっているつもりは全くないです。「何か買いたい」という思いは、全て基本的な人間の欲望に基づいています。例えばファミチキ増量キャンペーンは、「損をしたくない」「お得なものが欲しい」という欲望を刺激します。こういったことを、色々な手法でできるように頑張っています。

足立氏が考える顧客理解、2つの側面と3つの質問(動画 19:58〜)

 

足立氏が考える顧客理解

足立氏:顧客理解には2つの側面(視点)があります。

  1. お客様視点:自社のサービス・商品をお客様の視点に立って考える。
  2. 消費者としての自分視点:自分が何に反応してどう意思決定をしたか調査・分析して自分のビジネスに活かす。

2番目の自分視点は、案外みなさんが忘れてしまいがちですが、すごく重要な視点です。自分1人では視点が限られてしまうので、いろんな地域・いろんな客層の方々の立場に立って考えるようにしています。

茂木氏:Googleの元CEOであるエリック・シュミットさんも「意思決定をするときは、ありとあらゆる人に話を聞いて、最後は自分で決める」とおっしゃっていました。足立さんにもエリック・シュミットさん的な要素があると思います。

足立氏:ありがとうございます。お客様のインサイトを発掘するためにも、ヒアリングすることは欠かせないことです。例えば、ある製品について3つ質問すると、その人がどんなターゲットカテゴリに入っているかわかります。

  1. 製品を知っているか?
  2. 使ったことがあるか?
  3. 今後も使いたいか?

さらに、「他にどんな製品・サービスを使ったか」を聞くと、その方のインサイトというか、どういうところを押せばこの人はブランドのエンゲージメントを高めることができるか、ある程度仮説を立てることができます。

 

アイディアと施策がない戦略は机上の空論(動画 22:56〜)

 

茂木氏:足立さんは、データ主義というより現場主義ですね。脳科学をやっている僕の立場からすると新鮮です。

足立氏:僕は長く戦略コンサルティングにいました。はっきり言うと、70%は同じ戦略になります。戦略はあるけど具体案がなくて、戦術が実現できないという状況を数多く見てきました。アイディアと施策がない戦略は机上の空論です。なので、できるだけいろんな方と話をして「こういうことをしたら/これがこう変わったらお客様が振り向いてくれる」というアイディアを集め、それを実現しながらPDCAを回し、効果があったものから広げていくことをやっています。

 

「ちょっとお得」を刷り込む施策と脳科学的考察(動画 35:14〜)

 

「ちょっとお得」の施策

 

茂木氏:ファミリーマートのバリューは何ですか?

足立氏:「ちょっとお得」です。それを印象付けるために、ゴールデンウィークセールや、アプリ限定キャンペーン「ファミマのボトルキープ」などを実施しました。

茂木氏:「コンビニって便利だけどちょっと高い」と考えている人は多いです。この訴求はいいですね。

足立氏:こういった訴求を何度も実施して、お客様にメッセージを届けていかないとコンビニに対するイメージは変わりません。

吉澤:茂木さん、このように連続して「お得感」を刷り込むと、脳科学的にはどういう変化が起こりますか?

茂木氏:脳の側頭連合野でファミマに関する情報を整理統合するのですが、長年にわたるタッチポイントによりブランドイメージが形成されていきます。「ファミリーマートはちょっとお得で嬉しい」という感情が無意識のレイヤーに落ちている状態になった時に、ファミリーマートのブランドロイヤリティは揺るぎないものになります。

足立氏:ロジックではなく、「なんとなく選んでいただく」「ファミマがあった、ラッキー」とふんわり思っていただければ良いなと思います。

 

足立流 強い組織の作り方と組織の動かし方(動画 45:31〜)

 

足立流 強い組織の作り方

 

茂木氏:足立さんは、自分のことをどんな上司だと思いますか?

足立氏:上司としては、「考えてもらうこと」を意識しています。

例えば、僕に質問するときは、「足立さん、4つの案がありますが、どれにしたら良いですか?」ではなく、「4つの案のうち、〇〇の理由でこの案にしたいのですが、良いですか?」というように、「YesかNoで答えられる質問にして欲しい」とお願いしています。

僕が決めるのではダメなんです。永続的な組織にはなりません。みんながある程度同じ判断基準を持って同じ方向に走っていけるようになれば、ムダがなくなり強い組織になると思います。

茂木氏:組織を動かすコツはありますか?

足立氏:これまで業界や会社の規模、状況など全て異なるので、決まったやり方はないのですが・・・。僕は入社前からいろんな方にインタビューをして会議を傍聴し、入社直後には「こういうことをやっていこう」という戦略を全て描いていました。まずは仲間として受け入れてもらうことですね。

茂木氏:入社直後は、足立さんに対して警戒心を持つ社員の方もいたと思います。その中で、信頼を得るというのが重要だということですね。そのためには何が必要なんですか?

足立氏:「笑わせること」が大切だと思います。笑わせないと、心のハードルが下りません。一緒に働く人には楽しく仕事をして欲しいですし、最初に仲間として認めてもらうことで実績がない僕の元でも少しずつ組織が動いてくれるようになるという感じです。

 

視聴者から足立氏への質問(動画 53:46〜)

 

Q:アイディアを思いつくために、足立さんが意識していることは?

足立氏:年齢や職業を含めてさまざまな違いを持つ方を巻き込み、アイディアが出やすいような雰囲気や「場」を作ってあげることです。忖度せず本音を出してもらうには、「笑い」が不可欠です。

Q:消費者の「お得慣れ」(安い時だけ買う)についてどうお考えですか?

足立氏:ファミリーマートでは、特定の期間だけではなく、常にお得なキャンペーンを提供しています。「ちょっとお得」が常にあるイメージにしたいですね。

吉澤:逆に、「お得慣れ」させておくということですね。

足立氏:はい。「お得」にはいろんな種類があります。

  • 値段が安い
  • 量が多い
  • クーポンなどの情報が来る

など、「お得=値段が安い」だけではありません。

「ファミリーマートに行くと何か新しいものがある」というワクワク感も立派な「お得」です。

Q:僕が住んでいる沖縄のファミリーマートでは、レジ上のパネルでさまざまな企業のCMが流れています。店舗をメディアとしてうまく活用されていますね。(吉澤)

足立氏:先ほどマス広告・広報・SNSという話をしましたが、最大のメディアは店頭です。1日1600万人が来店するということは、結構な高視聴率のテレビの帯番組を持っているのと同じです。それを最大限に活用し、メディアとしての店舗強化を図っています。

 

Wrap-up(動画 1:04:08〜)

 

Wrap-up

 

最後のWrap-upでは、登壇者が本セッションの感想を語りました。

吉澤:いろいろ勉強になりました。アーカイブを見直して、今後に活かしたいと思います。ありがとうございました。

茂木氏:マーケティングは総合技術で、足立さんのような人間洞察の中にAIツールが入るとすごく力を発揮するんだろうな、と思いました。明日からファミリーマートに行くのがますます楽しみになりました。

足立氏:ファミリーマートとしては、さまざまな改革を進めていますし、この半年調子が良かったのは僕が要因というよりは店舗の総合力だと思います。今後もあっと驚くようなものが出てくると思うので、今後のファミリーマートを楽しみにしていてください。

【動画】NEXT ACTION of Marketers. vol.2 茂木健一郎 × ファミリーマートCMO 足立光 スペシャル対談ーアーカイブ配信中

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